エロ(えり)可愛い姉さんのランジぇりィ

原色系な高校時代。パステル系な大学時代。 黒系なOL時代。今?基本オールマイティ(ランジぇりィの色的な意味で)

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217、【19の頃1】U作1

【19の頃】 
【ハタチの頃】
【21の頃】
【合鍵】
【22の頃】
【23の頃】 
【25の頃】 
【今現在】 



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



15の春から16の冬にかけての数ヶ月間
超激しい恋愛をした
ホント駆け落ちとかしそうなくらいの勢いだった
身も心も全部捧げたし
必要最低限の睡眠時間や授業時間以外は
基本的に相手に全て合わせた

とっても激しくって
情熱的で
享楽的だった季節

激しかった故に
幼かった故に
その恋愛はわずか8ヶ月で幕を閉じた

それ以来
あんなに盲目的に相手に突き進むことができなくなった
そういう相手に出会えなかった?
っていうよりも
むしろ自分からブレーキを掛けてたような気がする


そんな別れから3年
高校1年生だったワタシも都内の大学に入学し
そこそこキャンパスライフを楽しんでいた
そんなときに出会ったのがU作(仮名)
そんなU作との数年間の出来事を綴ってみたいと思う






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


U作(仮名)と
初めて出会ったのは
大学1年生の頃

あ…
「松田優作」が好きらしくって…
なのでU(ユー)作



都内の
大学の近くの
渋谷駅そばの
居酒屋兼レストラン兼カフェ?
みたいなお店でバイトしたことがきっかけ


大学のサークルの
2コ上の
七瀬先輩がバイトしていたトコだったんだけど
ちょうどこれから迎える年末年始の超繁忙期に
「どーしても!人手が足りないの!
 ホント!ネコの手も借りたいくらいなのっ!
 えりチャンお願い!時給は色付けるから!
 年末年始手当ても出させるからっ!」
ってコトで


たまたまネ
接客経験者なんですよー
(と言ってもファミレスですが…)
みたいな会話をしてたのを聞きつけて
白羽の矢が立ち

まあ
時給が破格だったっていうのもあったし
大学と同じ最寄駅ってコトで
通い慣れてたってこともあり
年末年始の
ほんの数週間だけ!
お手伝いすることになりまして




当時
えりサンがやってたバイトは
知人の妹さんの家庭教師と
不定期に入ってくる
パーティコンパニオンくらいしかなかったモンで
結構ヒマだったしー
彼氏もいなかったからー(涙)
特に予定もイベント事もなかったしー(涙×2)
まーいいかなー
くらいな軽い気持ち

ネコよりは役に立つと思いまして…(笑)



そのバイト先で新人の教育係
みたいなモノを
していたのがU作

都内の大学生…
七瀬先輩とタメ語で話してたから
きっと同じ2コ上なんだろうなー
くらいな印象

でもなんか
えりサン的には
結構話し易いタイプで
U作に対しては
いつもタメ語で話してたんだけどネ…


痩せ形の180くらいある身長
ムースで固められた
オールバック気味の短めなヘアスタイル
なんていうのかな?
イワトビペンギン?みたいな?
太目の眉毛にくっきりとした二重
精悍な頬
地黒なのか?日に焼けてるのか?
大きめな目が余計に引き立つ
そんな濃い褐色の素肌


忙しいお店の業務をこなしながらも
結構丁寧に教えてくれた
やさしいお兄さん?みたいな印象

テキパキとした動作
どんな状況でも結構笑顔
忙しくても分からないことを質問すると
必ず丁寧に教えてくれて


まー
えりサンも
一応接客は経験済みなんで
ある程度コツさえ覚えれば
あとはスムーズに作業できるようになれたんだけど



ただー
気忙しい年末年始の!
不夜城のような渋谷の!
夕方から夜にかけての!
居酒屋サンの!
とにかく!
もう!
ハンパない忙しさ
目が回るとはまさにこのこと



次から次へと
波状攻撃のように来店するお客様
ハンディターミナルにどんどん打ち込まれるオーダーの山
運んでも運んでも即カラになるジョッキやグラス
次から次へとデシャップ台に並べられる
大皿小皿に盛られた料理
団体客が帰った後のテーブルや個室の後片付け
セットアップが終わったと思ったら即 
次の団体客様のご来店ー♪


あまりの忙しさに
トイレにもいけない
食事や休憩にもいけない
ずーっと 
ひたすら動き回り
声を発しまくり
化粧も微妙に落ちつつ(ぎゃーー!
タバコの臭いが髪の毛に染み込みつつ(うぇーーーん!
声も枯れつつ(げろげーーろ!



そんなムチャクチャな忙しさを
連日連夜
こなしつつも
みんな若かったんだよねー(遠い目

ほとんどが20歳前後の
大学生のアルバイト
皆結構地方出身で
都心部のアパートに
一人暮らしってカンジの人が多くて
体力と時間だけはもてあまし気味な人種の集まり
お金はないけど
飲み代・遊び代だけは無尽蔵…ミタイナ?



えりサンはネ
当然自宅通いでしてネ
当時まだ高校を卒業したばかり…ってこともあって
門限とか超うるさくってサ
ましてや外泊なんて御法度だったモンで
必ず22時(忙しい時だけ23時)にタイムカードを押して
まっすぐ 
サイタマまでの帰路についておりましたけどネー


ほとんどの男子たちや一部女子たちはサー
0時頃
バイトが終わったあとに
普通ーに飲み会に繰り出して
深夜近くまで飲み明かし
カラオケに繰り出し
朝方まで騒ぎ
そのままバイト先の鍵を開けて
客席のソファーでゴロ寝
で 
軽く仮眠を取ったあと
早番の人に起こされて近所の銭湯へ行き
そのまま
またバイトへと突入(いつ大学に行ってんの?状態





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ある日
七瀬先輩から
今度の日曜日
バイト終わったら
みんなで新年会しようと思うんだけど
えりチャンもどう?
みたいなお誘いを受けまして


その翌日の月曜は大学もお休みだったし
「ちょっと帰りが遅くなるかもーー」
な投げかけに
昔みたいに目くじらを立てなくなった
えりママ
「あんまり遅くならないようにネ!」
「はーーい♪」




………

そして
日曜日当日



結構早めに引けたピークタイム
店長公認の元
早めにお店をクローズして
皆で飲み会へGO!
(店長・社員・調理場サン含め総勢30人くらい)

もう
なんか普段のストレスを発散するかのごとく
機関銃のように飲食をオーダーしまくる若人たち!
そして
それらをどんどん胃袋に流し込みつつ 
普通にどんちゃん騒ぎ
イッキとか煽りとか
ありとあらゆる掛け声が交錯し
タバコの煙と
男子のがなり声と
女子の嬌声と
陽気な笑い声とが交じり合う
そんなカオスな空間
そんなリア充な感じ





盛り上がる飲み会の最中
さり気なく見遣ると
えりサンの
テーブルの斜め向かいに
仲良さそうに並んで座る
U作と七瀬先輩

2人の周囲には常に笑い声と話し声が溢れており
周りの人から
U作のグラスに
ビールが注がれ
それを飲み干した…と思ったら即 
別の人から次の一献
更にそれをイッキ飲みしつつ…
そんなループを繰り返しながら
あちらから呼ばれ
こちらから声を掛けられ
遠くから囃し立てられ



そんな場の中心にいる2人
人気者のU作の隣で
さりげなく
料理を取ったり
空いたグラスやお皿を片付けつつ
幹事サンや店員さんに指示したり
周囲の人たちと談笑しつつも
微妙に軽く触れ合う2人の肩
U作の冗談にアハハハと笑いながら肩に手を掛け
誰かの問いかけに気づかないU作に
「ほらU作!〇〇クンが呼んでるヨ」と耳打ち
そんな2人の
睦まじい掛け合いを見つつ
あっそうなんだー
この2人 
付き合ってるんだー
なんか似合いのカップルなんだなー
とか漠然と思ったりしてて



身長が165くらいある七瀬先輩
背中まである
明るめの栗色のストレートロングを靡かせ
キューティクルが充分に潤った髪質
色白な素肌
緩やかなウェーブを描いた 
先端がツンと尖った眉毛
見た目勝気そうな 
キモチ釣り気味な大きめな両目
屈託のない笑顔
キビキビとした動作
常連さんに一番受けのいい店員サン
女子バイトのリーダー的存在
皆の憧れの存在

当時よく
お客さんから「相川七瀬に似てるね」
と声を掛けられてまして
なので七瀬(仮名)先輩







盛り上がった飲み会
そろそろお時間
ってコトで

会計時
「おーい!幹事ーー!いくら?」
「えーーっと 一人3千円?」
「ハイハイハイハイハイみんな3千円徴収ーーー!」
「あれ?ちょい待て なんか足らない!」
「は?なんで?」
「あれ!計算ミスった!」
「まじか」
「ちょ!計算してみろ!」
「うーーん 2万くらい足らないなー」
「お前どんだけ適当な計算したんだよ!」
「店長ーー!スンマセーン」
「なに?足らない?任せとけ!いくらだ?」
「2万ほど…スンマセン」
「おう これで足りるか?」
「店長!1万多いっす!」
「まーいいヨ!二次会の足しにしな!」
「いいんすか?スンマセン」
「おう!好きなトコに行って来いー!」
「店長はどちらへ?」
「オレはキャバクラだー」
「ハイ!行ってらっしゃいませ!!!」←男子全員敬礼でお見送り!


いかにも大学生のバイト先
なノリでしょ(笑)



若い男性社員2人を従えて
夜の街に消えていった店長(30代・独身・前職ホスト←噂だけど…)
それを見送りつつ
ノリノリな一団は
「うっしゃーー!次はカラオケいこうぜーーー!!!」

そのまま
近くのカラオケボックスに乱入!
ぎゅうぎゅうに押し込まれた真っ暗な室内
ブラックライトが反射し
大音響と
陽気な歌声と
タバコの煙と
人いきれの充満した狭い個室


座の中心は
いつでも
U作と七瀬先輩


U作が話題の中心になりながら
場の雰囲気を盛り上げつつ

七瀬先輩が
影の幹事として
追加のドリンクや料理のオーダー
酔った男子の介抱などなどなど


時折
七瀬先輩が
隣のU作のパーカーの肩口を引っ張ると
至近距離で見つめ合い
笑顔のまま語り合いつつ
身を寄せ合い
耳元に口を寄せナイショ話をする2人


そんな仲睦まじい2人を
なんとなく
遠目に見ている
えりサンでした





そんなノリノリな状況が続き
気づいたら
時計の針は午前零時を回っており
でも
女性陣を含め
ほぼ全員帰る気配なし


いつもいつも
超ハードな職場環境で働く
まさに戦友ともいうべきバイト仲間
普段一緒にお酒を飲むこともなかったし
やっぱ楽しいし

時計を気にしつつも
なんとなく
そんな雰囲気に流されつつ
終電近くまで飲み唄い明かしたわけですよ




途中
化粧室に立った折
ロビーでタバコを吸っていた
七瀬先輩に訊いたんですネ


えり「あのー みんな 帰りはどうするんですかー?」
七瀬「えーー?皆泊まりだよー」

えり「えっ!?どこにですか?」
七瀬「お店(バイト先)のフロアーか
 友達の家かー
 あとの残りは皆U作の家かなーー
 男の子はお店で飲み明かしながら雑魚寝が大半じゃない?
 
 あっ大丈夫 
 えりチャンは
 ちゃんとワタシがU作の家に連れて行くから」

えり「え?U作サンの家ってどこなんですかー?」
七瀬「ここ渋谷駅から歩いて10分くらいのトコだよ」

えり「え?こんな都会のど真ん中に住んでるんですか?」
七瀬「そそ ホテル街を抜けた ちょっと先だよ」

えり「へーーそうなんですかー?広いんですかー?」
七瀬「ワンルームくらいかなー」

えり「も…もしかしてU作サンって どっかの御曹司とか?」
七瀬「え?…なんで?」

えり「都内の一等地に住んでるなんて…」
七瀬「あーーーー確かに一等地ではあるけどネーーー」

えり「?」
七瀬「まー 行ってみれば分かるヨ♪」





そんなこんなで

ひとしきり盛り上がったカラオケ
閉店時間になり
路上に放り出された後も
余韻を残したまま
各々騒ぎ続ける私たち


シャッターの閉まったお店(バイト先)に戻る人
別の飲み屋に行く人
こっそり消えたカップル
U作の家に向かう人
いくつかに別れて移動




ていうか
なんか
身の引き締まるような冷気
足元からジワジワと昇ってくる凍気
毛穴が締まり 
鳥肌の立つ素肌を感じつつ
吐く息が白いぃぃぃ


こんなに寒くなるなんてー
ぅぅぅうう油断したー
昼間は結構暖かかったからーー
薄手のダウンでも着てくればよかったー

とか
真冬の深夜 
木枯らしの吹きすさぶ中
いつも以上に内股になりつつ
えりサンは
七瀬先輩に連れられて
他の数人の男女とともに
U作の家に向かったのでした





【19の頃2】につづく






15歳春から16歳冬にかけてのオハナシ
紫煙と香水

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218、【19の頃2】U作2

【19の頃1】
【19の頃2】←今ココ
【19の頃3】



☆☆☆☆☆☆☆☆☆



先頭を歩く
U作とバイト仲間の男女数人
そこに加わり談笑する七瀬先輩
その後にひっそりと付き従う私…えりサン
外泊の予定じゃなかったから
一応
えりママにはメールを打っておいたけど
怒られるかなー?
まーいいや
朝イチで始発に乗って帰ろーっと



ギラギラと眩しいネオン
姦(かしま)しいセンター街の喧騒を抜け
裏の路地に入ると
今度は左右にラブホテルが林立
その間の小さな坂道を通り
「休憩〇〇円 宿泊XX円」と書かれた看板を
俯き加減にチラチラと横目で見つつ
大声で笑い合う先輩方に追いすがる私

ラブホテル群を抜け
その先の
交通量の激しい国道の
長い長い横断歩道を渡って
そのまま住宅街を通りながら
いくつか角の曲がると

ふと現れた
エアポケットのような古びた空間
仄暗い街灯の横に
ひっそりと佇む
木造2階建ての古びたアパート



立て付けの悪い
摺りガラスの引き戸をガラガラと横に押し開けると
寒々とした玄関スペース
天井にぼんやりと灯る蛍光灯
右手奥には
2階に昇る木製の階段
階段の下に共同のトイレ
奥に続く長い板張りの廊下


玄関スペースの横に設置された
少し埃っぽい下駄箱に
皆のスニーカーを押しこみつつ
入りきらない女子のブーツは
しかたなく
玄関の三和土(タタキ?)の端に並べさせてもらって


靴を脱ぎ
そこから
薄暗い廊下をゾロゾロ歩きつつ
ミシミシ
ギシギシ
ミシミシ
ギシギシ
歩くたびに鳴る板の間の廊下
釘とか飛び出ていないよネ?と 
軽く心配



………
カギを開け
ギギギと鳴る 
木目の古びた扉を開けて
U作の部屋に入ると

まず手前に
半畳くらいの板の間のキッチンスペース
ぽつんと置かれたカセット式のガスコンロ
流しに置かれたコーヒーカップとグラス
ムースとブラシと鏡
歯磨き粉と歯ブラシ
なんか生活感があまり感じられない雰囲気

キッチンの奥に
八畳くらいの
カーテンすらない畳張りの部屋
大きめのガラス窓
中央にぶら下がった裸電球のスイッチを捻ると
途端に明るくなる室内

部屋の片隅に
背の低いパイプベッドと
その手前に小さなコタツ
テレビと
ラジカセと
小さな電気ストーブ
木目風の柱
茶色い壁
心持低めの天井


ひさびさに足を踏み入れる
一人暮らしの男性の部屋
どことなく漂う
男性特有の
整髪料や汗や体臭の入り混じった香り



ちなみに
立地は渋谷駅から徒歩10分
ただし風呂なし
トイレ共同
八畳一間
築50年くらい
月3万円の超格安物件

とにかく「駅から近いこと」だけを条件に選んだ部屋
だそうで
夜中に時折天井裏をねずみが走ることもしばしば(怖!)
おかげで
皆にはディズニーランドと呼ばれてるとかいないとか(笑!)





……

ここにくるのは毎度のこと…らしく
勝手知ったるが如く
銘々に陣取り
テレビを見始めるヒト
「ちょっと寝るー」って即畳の上に横たわるヒト
途中のコンビニで買い込んできた
缶ビールとおツマミを
コタツの上に広げて三次会を始めるヒト(U作含む)
えりサンは
もうお酒はいいヤ
でも
このままここでザコ寝はちょっとー
と皆と会話の輪に入りつつ
壁に背を凭れて体育座り




そのまま
皆の話し声をBGMに
いつしか
落ちていく意識

今日 
朝早かったしなー
あーなんか眠いーーー







zzzz………






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


パイプベッドの上で
ダウンを着たまま寝息を立てている七瀬先輩
始発電車の時間まで起きているつもりだったんだけど
迂闊にも
うつらうつらしちゃいまして
気がついたら
体育座りのまま膝頭の上に顔を乗せて
眠っちゃってたみたいで
ふと時計を見ると
そろそろ始発電車が走り始める時間


薄暗い室内
電気ストーブの赤い光だけが
ほんのり天井を照らし
あちらこちらで雑魚寝状態の男女
複数の寝息が入り乱れる中
ちょっと早いけど
もう行こうかな

腰を上げたところ


部屋の対面
コタツ布団の中から
ムクリと起き上がった
ひょろっとした影

あれ
U作?



U作「お?トイレ?」
えり「あ ゴメン 起こしちゃった?」

U作「いや ウトウトはしてたんだけど 
 なんか眠れなくってさ」
えり「もう帰るネ
 ちょっと早いけど 
 そろそろ始発電車の時間だと思って」

周囲で眠っている人たちに気を遣いつつ
ヒソヒソと交わす会話


U作「外まだ真っ暗だゼ」
えり「うん大丈夫だよ そのうち明るくなってくるでしょ」

U作「寒いぞ外」
えり「うんまあ 平気」

U作「あ…と」
えり「え?」






U作「送ってこうか?」









えり「…そんな! いいヨいいヨ」
U作「一応早朝とはいえ まだ暗いしさ」

えり「いやホント いいって」
U作「なんかちょっと寝付けなかったし散歩がてらさ」



スッと立ち上がり
クローゼット(ていうか押入れ)から
大型の革ジャンを取り出し
パーカーとスエットの上に
担ぐように羽織り
スタスタと出ていくU作
えーーー?
ちょ…ちょっと待ってヨーー
とか思いつつ
仕方なく後を付いていくワタシ


ギシギシと
暗い廊下を歩きながら玄関に行くと
既に靴を履いて外で待っているらしいU作
あわててブーツを履き
擦りガラスの引き戸を
ガラガラと横に開けると
一気に
強烈な冷気が
全身を包みこむ!!!


真っ暗な街路
煌々と灯る街燈
吐き出すと白く煙る息
思わず肩を窄(すぼ)め
「うーー寒いネー」と一言

「朝方って一番寒いんだよナー」
とか言いつつ
駅の方向に向かって
そのまま歩き始めるU作

えり「あっ   ちょっと」
U作「え?」

えり「大丈夫だから ひとりで帰れるから」
U作「いいからいいから」

えり「いや…ていうか 困る」
U作「なにが?」

えり「いやーその」
U作「なに?」

えり「いや ほんと大丈夫なんで」
U作「いいから 送っていくって!」






えり「いや ほんと大丈夫って言ってるんじゃん!!
U作「……え」





うわーーーーーー
ワタシ
なんでキレ気味なワケ?
そういうコトを
唐突に言うからカレシできないんだよーー
ううううううううう
凄い自己嫌悪
真っ暗な早朝の住宅街
背の高いひょろっとしたお兄ちゃんと
駅まで
送ってもらうの もらわないので
なんでケンカしてるワケ?!

あああああああああ
消え入りたい
ホントこんな性格イヤ!
ホント直したい!


違うの!
あのネ
部屋で寝ている七瀬先輩がサ
もし目が覚めて
みんな寝ている中
ワタシとU作だけが居ない
って分かったらどう思う?
気まずいでしょうが!

アナタ的には
気にしないヨーみたいな雰囲気だけどサ
そっちが良くっても
こっちが困る!って!
いろいろ難しいんだからサ!!!
こういう問題っていうのはサ!


ただサ
無邪気にサ
良かれと思って言ってくれてるんだろうから
こっちとしても
なんとか
やんわりと断ろうと思ってるのにーー
空気読めないの?
なんなの?

そんなカンジで
ついつい
言っちゃったーー
あー
もー
最悪ーー


もう
フォロー不可能!
いいや!
諦めよう!
なカンジでーー


えり「ごめん!じゃっ!」

スタスタと歩き出そうとすると

U作「おーい」

えり「何!?」

もう!しつこいヨ!
と 振り向くと



U作「気をつけてなーーー」




うぉっとー
な…なんだよー
あっさり諦めるんだー
しかも超笑顔だしー

ま 
いいけどネ



そのまま
U作に背を向けて
駅に向かって薄暗い路地を歩き始めた
えりサンなのでした




【19の頃3】につづく

| 【連載】U作 | 00:08 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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219、【19の頃3】U作3

【19の頃1】
【19の頃2】
【19の頃3】←今ココ



☆☆☆☆☆☆☆☆☆



暗い夜(早朝?)道
身も凍りそうなほどの冷気に包まれ
吐く息で手指を暖めつつ
来た時の記憶を頼りに
一人トボトボと坂道を登りつつ


どうやら










道に











迷ったーーーーー!!!!!!!!
(山本高広っぽく)











そんな
軽く方向音痴なえりサン

初めて来た場所
暗い夜道
夜更かしで 
かなり寝不足
しかも
なんとなく先輩たちの後を漠然と付いてきただけなもんで
道順の記憶が
チョー!曖昧!!!
歩いても歩いても
どこかしら似たような街並み!




どうしよう!

なんか
そもそも方向…逆だった?
うーん自信ナシ

さっきの角を間違えた?
いやー全然分からないー

最悪タクシーに乗る?
ていうか
閑静な住宅街で
タクシーはおろか
クルマやバイクさえ通らないシー

薄手のセーターにハーフコート
キュロットにブーツ
織り込まれた繊維と繊維の隙間から
じわじわと侵入してくる
凍りつくような冷気が
素肌を舐める様な…
空気中の水分が凍って
小さな雪の結晶みたいになって
フワフワ浮かびながら
外気に晒された頬に
突き刺す様な…?
そんな真冬の早朝の空気ーーーーーーー!!!




寒いし   
暗いし
情けないし
心細いし
寝不足だし   
思考能力がどんどん低下していくし
ホント
自己嫌悪!自業自得!身から出た錆!



藁にも縋(すが)る想いで
七瀬先輩のケイタイに掛けるも
「只今
 電波ノ届カナイ場所ニイルカ
 電源ガ入ッテイナイタ(以下略)」


うううううううううううううう
まさに絶望ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!

もう
イヤだーーーーーーーーーーーーーー!!!!!



泣きたい!
ていうか
軽く泣いてたけどネ





曖昧な記憶だけを頼りに
もと来た道を
寒さに震えつつ
俯きながら
トボトボと歩き始めながら



誰か
ていうか
誰でもいいから
助けてーーーーーーーー!!!!



と念じていた   
ト コ ロ !!!!
















「あれーー  えり?」









えっ?









目の前の角から
いきなり出てきたのは















ゆううううううううううううううううううう
さくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!











なんで?
なんで
ココにいるの?






U作「どうした?忘れ物か?」
えり「……え…あのぉ」

U作「…あ」
えり「………」

U作「…もしかしてー 道   迷った?」
えり「………うん」

U作「あー 確かになー」
えり「………」

U作「結構 迷うんだよなー このヘン」
えり「…………    そっちこそ…」

U作「え?」
えり「なんで? 部屋に帰ったんじゃ?」

U作「あー   コンビニ寄ってた」
えり「…そっか」

U作「…あ………飲む?」
えり「え」






U作「缶コーヒー 寒かったろ?  あったかいゼ
えり「………」



寒さと
心細さと
恐怖心と
焦燥感と
不安感
あまりにも絶望的な状況に覆われていたのに

一転
U作の
拍子抜けしそうなほどの楽観的な表情
唐突に掛けられた暖かい言葉

なんだか
一気に緊張感が解けたと思ったら

不意に
凍りつきそうな寒さが
ぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅって
全身を圧迫するような 
そんな感覚に襲われ

一気にガタガタガタガタ
震えだすカラダ



U作「あー」
えり「………」

U作「あ  のー  寒い?」
えり「……うん?」

U作「…震えてるゼ」
えり「……………」

U作「……大丈夫?」
えり「………………………」


そのまま
素早く
着ていた革ジャンを脱ぐと
「ほらっ」って
えりサンの肩に掛けられて


『革ジャン ムートン襟付ボマージャケット 』
っていうヤツ?
バイト先のセンパイに
昔譲ってもらったヤツらしく
10万円くらいするんだゼー
とか言ってたけど…
ずっしりと重くて
年季の入った
所々黒光りしている茶色の革ジャン
襟のトコにフワフワのが付いてて
とにかく暖かい
外からの冷気を一切シャットアウトしつつ
更に
体温が革ジャン内を循環して
一気にカラダを包みこむ感覚
うーん♪
暖かいーー


U作「暖かいだろ?それ」
えり「……ウン」

U作「駅まで…」
えり「………」

U作「送るよ」
えり「…………」

U作「ていうか 送らせて!
えり「………」


さっき 
一度断った手前
どうしよう…とか思いつつ
屈託のない
包み込むような笑顔


ついつい

ウン

言ってしまったワタシ

七瀬先輩
ゴメンナサイ!
少しだけお借りします!!!



そのまま
ずしりと重い
でもとても暖かい革ジャンを羽織りながら

一跨ぎが
ワタシの2倍くらいあるリーチのU作に
離されないように足早に付き従いつつ
無言のまま
駅に向かうことになった私




ていうかU作
素足にスニーカー
トレーナーにスエットだけの恰好って
寒くないのかな?


声掛けても
「わははははは 男の子は強い子 風の子ー♪」
とかイミフー

寒いくせに
やせ我慢させちゃって
ほんとゴメン!



……
そんなU作
時折思い出したように立ち止っては振り返り
U作「大丈夫かー?」
えり「え?なにが?」

U作「歩くの早い?」
えり「あー   うん大丈夫」(軽く息せき切りながら)

U作「ごめんナ 
 気を付けて歩くようにはしてるんだけどサー
 よく言われるんだー 
 早足すぎるってーー」
えり「へへへー
 なるほどー
 いろんな女性に言われるんですネー
 さすがモテ男は違う!」

と 
軽く憎まれ口


U作「ばーか 違うよーー」
えり「いてっ」
軽く頭をコツンって小突かれつつ


っていうか
なんか
久々の感覚?
男性と並んで
軽く笑い話しつつ歩くなんて?







☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


東の空が軽く白みはじめ
澄んだ空気の中
遠くに響く電車の音
徐々に活動し始めた都内のターミナル駅
人影もまばらな渋谷の駅前に着いた2人
吐く息が白く煙りながら交わす会話


えり「ホントありがとうございました」
珍しく敬語

U作「うん気を付けてな お疲れ様」
軽く手を振り
改札方面に振りむこうとした瞬間

U作「あーーーーっと」
えり「え?」

U作「っと…そうだ」
えり「ん?」

U作「一応さー」
えり「うん?」

U作「念のため」
えり「うん」

U作「いや別にいいんだけどさー」
えり「はあ」

U作「心配じゃん?」
えり「なにが?」

U作「ちゃんと無事家に帰れるか?」
えり「えー?もう大丈夫だよー」

U作「一応心配だからサ」
えり「はあ」

U作「家に着いたら電話してくんない?」
えり「え?」

U作「やっぱ夜通し連れ回しちゃったからサ一応サ」
えり「あーじゃあケイタイ教えてくれるー?」



そういえば
そっかケイタイもメールも交換してなかったんだっけ?
期間限定のバイトだったし
特定の女子以外
特に教えてなかったナーなんて思いつつ

言われれば教えるけど
言われなければ特に教えたりとかもしてなかったからサ…



そのまま
番号とアドレスを教え合い


えり「一応これがワタシの番号なんで」
U作「うんありがとう!」

えり「あそろそろ電車来るころなんで 行くネ」
U作「うん気を付けて」

えり「じゃ…」



改札を抜け
ホームに向かいつつ
何気なく振り向くと

いつまでも
こっちを見つめているU作
軽く
手を振ると

驚いたように
喜んだ表情で
手を振り返すU作




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

家に向かう始発電車内
シートに腰掛け
携帯にメモリーされた番号を眺めつつ
なんか
恋人の疑似体験?みたいな
さっきまでの状況を思い出して
ついついクスッってしちゃいまして



帰ったら
忘れずに電話しなくっちゃネ♪



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





後日談

U作「え? 七瀬? オレと? 付き合ってる?
 いやーーー
 ないない(笑)!!!
 違う違う(爆笑)!!!
 だって七瀬…
 店長(30代 元ホスト←噂)と付き合ってるんだぜ
 もう2年くらいになるんじゃないかな?」




えーーー?そうなのーーーーー?!!!!!!!

なーんだ
気を遣って
損しちゃったよー










☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


結局


その時の収穫(?)ってサ




お互いにケイタイとメールの
番号を交換できたコトとー

U作と七瀬センパイは付き合っていないってコト
が判明したコトとー

あとぉ…





U作って結構カッコイイ///とか思ってしまったワタシがいたってコト
かな





【19の頃】編 おしまい
【ハタチの頃】編 につづく

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220、【ハタチの頃1】U作4

【19の頃】

………
【ハタチの頃1】←今ココ
【ハタチの頃2】
【ハタチの頃3】



☆☆☆☆☆☆☆☆☆



大学2年の晩夏
まだまだ残暑厳しい季節




大学の講義が終わった後
夕刻
友人と2人で
渋谷のセンター街を歩いてたんですけどね


ナンパされまして


えー
まー
よくあることでして(ホント

相手もゲーム感覚で声を掛けてくるワケですよ
若いお兄ちゃんが2~3人とかで


こっちも
軽くあしらうワケですよ
イケてない系なら無言で通り過ぎちゃうし
イケてる系だとニッコリ笑って
「ごめんなさーい♪」って可愛いリアクションで返すし
ノリノリ系だと
「ハイハイーまた今度声掛けてねー」
みたいな?




その時
たまたま
声を掛けてきた
背が異様に高い2人組の男子


えりサンとえり友が歩いていたところ
後ろから近寄ってきて
肩越しに声を掛けてくるんだけど
「ねえねえお姉さん 今からどこ行くの?」
「2人?ねえ2人?」
って
いかにも軽いノリで声を掛けてくるワケ




「ねえねえお姉さんーー
 聞いて聞いて
 おれたちのニックネーム 
 渋谷センター街の『タッキー&翼』っていうんだよー」
とか?
寒いよ!とか思って無視
見もしないでスタスタ歩くんだけど


でも相手も
挫けずに
「ごめん!ウソ
 実は 渋谷センター街の『修二と彰』でーす」
うん
全然無視ね


「ちょちょちょちょ待って待って
 ホントは
 渋谷センター街の『KinkiKids』ですねん
えり友が
思わず
「って 語尾が『ですねん』って(笑)」
とか
堪え切れずに応じちゃうから(もう

そういうトコを見逃さずに突っ込んでくるのよ
彼らはー


男子1「おっ?ウケた?
 ですねん そうねん ちゃいまんねーん」 イミフー
男子2「ねえねえねえねえねえ
 お姉さん
 あの人に似てない?
 えーーと
 ほら
 ほら今ドラマ出てる」
えり友「え?別に言われたことないけど?」

男子1「いやいやいやいや あれあれ  って誰だっけ?」
男子2「えーーーっと なんだ あれあれ」
えり友「えー?なんか気になるんですけど」

あーあ
なんか引っ掛かっちゃてるしー
とか思いつつね







超びっくりしちゃいまして









何をびっくりしたかっていうと
立ち止って
振り向いて
目が合った
2人組の男子のうちの
1人が



U作でして





ええ
U作でして





いやいや
あのU作でして(しつこい?








は ぁ ? 何 や っ て る の ? 
ですよ
お互いのリアクションは




いやいや
こっちは大学が終わった後に
フツーに買い物に来てただけですけど?

U作「おーそうなんだー?
 実はオレ風呂上がりでさー」
えり「は?」

U作「いやいや
 これがサ
 話すと長くなるんだけどさー」

そんなカンジで
暫く立ち話になったんだけどネ
「立ち話もなんだから 
 お嬢様たち2名
 よかったら
 ちょっと軽くナンパされてみない?」的な?

「そこの居酒屋にでも入ろうよ」と誘う
元気な兄さん2人組


「え?どうするー?」
って戸惑うえりサンに
えり友が
「なんか面白そうだし
 えりの知り合いなんでしょ?
 別にいいよ」

ってことでめでたくナンパされまして(笑)
たしかに男子2人とも
そこそこイケメンではあったので(笑×2)




………

まあ
U作っていうのは
この渋谷のセンター街から
歩いて10分くらいのアパート(風呂なし)に住んでるんですけどね



U作曰く

夕刻に
シャンプーと石鹸とタオルの入った入浴セットを持って
渋谷のセンター街のド真ん中にある銭湯に
いつもように通い
風呂上がりの
素肌から湯気の立ちのぼったまま
タンクトップ&スエット&ビーチサンダルの恰好で
缶ビール片手に
アパートに戻ろうと思って道玄坂を登っていたところ
昔のバイトの友達から
飲みにいかない?
って着信
で そのままセンター街の
いきつけのショットバーで軽くビールを飲んだ後
繁華街に出て
暇つぶしにナンパをしまくってたそうです

声を掛けては断られ
声を掛けては無視され
それでも挫けずに声を掛けてて(下手な鉄砲云々ってヤツ?)
たまたま
そこに通りかかった女性に声掛けてみたら
その連れがえりサンだったという…ってホント話が長いよ



偶然って言えば偶然なんだけど
まあお互いに渋谷駅は生活圏
(えりサンの大学は渋谷駅の反対側にあったので)
ニアミスは多かったのかもしれないけどネ





………

えり「いっつもこういうコトしてるんだ?」
U作「何?こういうコトって?」

えり「女の子に声掛けて誘うの…とか」
U作「あーナンパ?
 まあ暇つぶしにネ
 大学やバイトの仲間とたまーにね
 それでも週2~3回くらいしかやらないよ(笑)」

えり「ふーん 結構不良なんだね」
U作「不良って…昭和かっ!」

えり「ハイハイ 昭和生まれですけどナニカ?」
U作「奇遇だなー オレも昭和生まれ(笑)」

なんか
噛みあってるんだか
あっていないんだか
私たちの会話




そのまま
勢いに任せて男子2名に背中を押され
皆で入ったのは
都内でチェーン展開されてる居酒屋サン
店内は結構満席に近い状態
一番奥の座敷風の席に通されまして
前後左右両隣がほとんど満席状態の
ワイワイガヤガヤ賑やかな状態
週末だったしね






………

ていうか
U作と
U作友(とりあえず『Aサン』としときましょうか)
とにかく
テンションが高いし
トークは面白いし
ギャグ満載だし

黙ってると結構イケメン風の2人が
真面目な顔して
いきなり

A「じゃ 乾杯ついでに自己紹介するね」
U作「泉ピン子です」
A「橋田壽賀子です」
U&A「『渡る世間は鬼ばかり』ブラザーズです」
えり&友「ブホッ!」
確かに
そのギャップにびっくりしちゃって
完全に掴みはオッケイ

その後もホント
こっちを飽きさせないし
パワフルだし
テンポが良いし
話題が詰まると
音楽でも芸能でも色んな幅広い話題を振ってくるし
時折ちょっとインテリ風な側面もあったりして
さっきから
えり友なんかお腹抱えて笑い転げちゃってるし





………

えりサン達4人組の
テーブルのつながった
隣の席では
4人組の男性客が
大声で騒ぎながらイッキ飲みとかやりまくってまして
まあこっちも
U作やAサンのマシンガントークのお陰で
そんなに気にはならなかったんですけどね



隣のお兄さん達4人組のうちの1人…
盛り上がって
いきなり立ち上がったりしたモンだから
テーブルの縁(へり)に膝をぶつけちゃって
目の前の
半分くらい入ったビール瓶が倒れちゃいまして
そのまま
ダーッって
ビールがこぼれて
テーブルを伝って
えり友の目の前まで流れてきちゃいまして


ソッコウ
えりサンやAサンが差し出したオシボリで
拭きあげたんで
別に支障はなかったんですけどね


ただその後も
何かにつけて
妙に話しかけてこられちゃいましてネ

隣男子「どうもスミマセン」
えり友「いえいえ大丈夫です」
隣男子「本当にごめんなさい」
えり友「いえホント大丈夫ですから」
隣男子「ほんとーーーーに申し訳ない」
えり友「ええ はい」

かなり出来上がった様子の
赤ら顔の同い年くらいの厳(いか)ついお兄さん

ていうか
一瞬空気が悪くなるワケじゃないっすか
こっちは4人(男2女2)で楽しく盛り上がってるのに
そこに割り込んでくるワケでして



さすがに
隣の席の他の男子が気付いて
「おい もう帰るぞ ホントすみませんね」
と言いながら
その赤ら顔のお兄さんを引っ張っていってくれたので
その場は事なきを得たんですけどね




………

ただその後
AサンやU作やえりサンたちと
その4人組とで
ちょっとひと悶着ありまして


少しだけ
怖い目にも
合ってしまってネ



【ハタチの頃2】に続く

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221、【ハタチの頃2】U作5

【19の頃】

………
【ハタチの頃1】
【ハタチの頃2】←今ココ
【ハタチの頃3】



☆☆☆☆☆☆☆☆☆



4人で盛り上がった飲み会


途中でえり友が
「ちょっと化粧室に」と立ち上がると
Aサンがすかさず
「では私がご案内いたしま~~~す」
ってなノリで
連れだって席を立ちまして



後に残されたのは
えりサンとU作

2人きりで
向かい合わせに座るのって
実は初めてのことでして


な状況で
先に話し始めたのはU作


U作「よくナンパとかされるの?」
えり「ナンパ?
 あー街歩いてたら声を掛けられることは多いけど
 こうやって一緒に飲んだりするのは初めてだよ
 普通ナンパされて
 ノコノコ付いていかないでしょ?」

U作「今来てるじゃん(笑)!」
えり「そ!それは!!
 U作が知り合いだからで(慌)!
 ナンパされたっていうよりは
 知り合いと飲んでるっていう感覚だし」

U作「ハハハそっかそっか」
えり「ねえねえ
 逆に聞きたいんだけど
 こういうふうにサー
 ナンパしてカノジョとか作るの?」

U作「え?ナンパして?カノジョ?作る?
 いやいやいやいやー
 まさかまさか」
えり「?」

U作「ナンパなんてホントに遊びだって
 その時だけの暇つぶし
 その場だけ楽しく飲んで楽しく語らって
 で
 時間がきたら笑顔でバイバイ」
えり「えーー?そういうモン?」

U作「だってそもそもカノジョいるし
 だからナンパでカノジョを見つける必要なんてないし」
えり「あっ?カノジョ?いるんだー?
 こういうふうにナンパとかしてるって知ってるの?」

U作「普通に報告とかしてるし
 『今日こういうコと喋った』みたいに」
えり「えーー?嫌がらない?」

U作「なんで?
 別に悪いことしてると思ってないし
 まあナンパして
 そのまま勢いでホテルに連れ込んじゃうヤツとか?
 そういう目的のヤツもいるかもしれないけど
 少なくともオレ的にはそういうのはナシだね
 どっちかって言うと
 初対面の人に
 声を掛ける緊張感とか
 上手くフィーリングが合った時の達成感とか
 会話を上手く盛り上げよう…っていう抑揚感みたいなものが
 醍醐味っていうのかな
 そういうものを楽しんでるネ」
えり「ふーん 
 なんか真面目なんだか不真面目なんだか」

U作「まあどっちにしてもサ
 こういう馬鹿やってられるのも
 大学生の今だけだけどね
 来春からは俺も社会人だし」
えり「あ!そうなんだ-
 もう社会人になるんだ?」

U作「うん
 ナンパなんて
 暇を持て余してるからできることでサ
 社会人になったらそんな暇もないだろうし
 もっと真面目に生きていくよ(笑)」
えり「真面目(笑)にね」


………

U作「話変わるけどサー」
えり「うん?」

U作「前々から思ってたんだけどさ
 えりって結構ガード堅い系?」
えり「え?ガード?堅い?って」

U作「中々隙を見せないっていうか
 オトコを寄せ付けない系?」
えり「えーー?そうかなー?そういう風に見える?」

U作「凄く見える!
 凄くオーラを発してる」
えり「えー?
 そんなつもりはないんだけどナー
 どんな所がかな?」

U作「例えばさー
 バイトしてた時とか
 いつも終業時間になったらササッって帰っちゃてただろ?」
えり「そ…それは当時は門限がうるさかったし」

U作「あと
 ウチにみんなで泊まりに来た時の覚えてる?
 新年会の後」(【19の頃】参照)
えり「ああ うん」

U作「オレが駅まで送っていくって言ってんのに
 頑(かたく)なに断ったろ?」
えり「あーあれはーそのぉ…(焦)
 あの時はU作と七瀬先輩が付き合ってるかと思ってて…
 その節はお世話になりました…」

U作「おかげで
 あの後携帯番号を訊くのに凄い勇気が要ったんだぜ」
えり「えなんで」

U作「訊いたはいいけど
 全力で拒否られたらどうしようと思って(笑)」
えり「えー大袈裟なー」

U作「いやマジ本当!!
 かなり緊張しながら携帯の番号訊いたんだぜ(笑)」
えり「そうなんだーなんか色々ゴメン」

U作「いやいや
 でもサ
 偶然とはいえ
 今日こうして色々と喋れてよかった」
えり「うん そうだね」


そんな風に
こうやって落ち着いた状態で
2人きりで話すのって初めて
…しかも
結構いいセン行ってない?
行ってない?
行ってると思うんですけどーーーーー☆


だってサ
微妙にー
お互いがお互いを誤解してた部分が
ちょっとだけ解けて
なんか
凄く距離が縮まった感が大
ジャナイ?




2人きりでお喋りしていた
この間
まあ時間にしたら5~6分程度だったのかもしれないけどネ
往々にして
こういう楽しい時間っていうのは
直ぐに過ぎちゃうモンでして
ソッコウ過ぎ去ってしまうワケでして





ええ

姉さん事件です
ってヤツですよ







☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

和やかな空気が一変したのは
えり友が血相変えて席に戻ってきたから


さっきまで
えりサンたちの隣に座ってた
4人組の男性グループ
ガテン系ヤンキー風…っていうのかな?
ちょっと
場にそぐわない
あまりガラの良くない感じだったんだけどー


えり友曰く
その男性グループのうちの1人が
レジ付近で
Aサンとひと悶着あったみたいで

その4人組が
レジにて会計をしようとした際
化粧室から戻ろうとする
えり友にちょっかい出したらしく
それを制止しようとしたAサンと
ちょっと揉めてしまった模様

でも酔っているとはいえ
お互い大人の対応
店内では色々と迷惑がかかるからって
「おもてに出て話そう」ってコトで
そのままAサンと4人組とで
えり友を放置して
お店の外に出てっちゃったらしく


事情を聞いたU作
開口一番
ったくもー
 アイツはよー
 いっつもそうなんだけどサ
 ホント喧嘩っ早いからさー



さっきまで温和だった表情が
一気に曇ったと思ったら

あわあわしているえり友と
おろおろしているえりサン2人を
見降ろすように
スクッと席を立ち

適当な枚数のお札をお財布から取り出し
「ちょっと出てくるけど
 長引くようだったらサ
 悪いんだけどこれで会計済ませといて」
とだけ言い残し
そのまま店を出ていっちゃいまして


なになに?
「こういうの別に日常なんだよね(笑)」
みたいな雰囲気?

ちょっとコワイ








さっきまでの楽しい雰囲気が一転
座に取り残された私たち2名
仕方がないのレジで会計を済ませ
店の外に出て
AサンとU作を探すことにしたんですけど







………

えりサンたちが見たのは
路地裏で揉み合う男性陣
えーーーーー?
なんか不穏な雰囲気ーーー!!!


殺気立った大柄な男子4人組に
囲まれて詰め寄られてる風なU作


皆20代前半の男子
一様に屈強な体格
丸刈りの土木作業員風や
金髪ロン毛に紫ラメ色のスカジャン
パンチパーマで上下白いジャージ等々
ネックレスやアクセサリーをジャラジャラさせ
凄んでる風でなんか怖い


緊迫した雰囲気
傍から見てて
え?なに
ケンカ?揉め事?諍いごと?
どうしようドウシヨウどうしよーーー
Aサンは?
うーーん見当たらない
えり友は?
もう顔面蒼白ーー




一応私たちも揉め事の当事者?なんだろうし
何かできることがあれば
と思い
オロオロしながら
近づいたんですけど


その時の
U作を囲んだ男子4人たちの台詞
「今日は出所祝いなんだよ!」
「アイツ(Aサンのこと?)がちょっかい出してきやがって!」
「年少出を舐めんなよ!」
等々細切れにしか聞き取れなかったんだけど


『年少』とか
『出所祝い』とか
なに
その浮世離れしたフレーズ?



ホントにマズイんじゃない?
年少って少年院?
出所祝いって…つまりはその少年院からの出所したお祝い?
ってコト?

怖くて近寄れないけど
でもU作1人相手に
4人がかりで取り囲むのはどうなの?
って思いつつも
あまりにも無力な私たち女子2名




会話が途切れた瞬間
輪の中心のU作と目が合ったんだけど




すかさず
U作が
「あ 料金足りたかなー?」
って
その場の空気にそぐわない
超フレンドリーなご挨拶
その状況にビビりつつ
言葉も発せずに頷くと


周囲の4人を無視して
「今日は色々ごめんねー♪
 また今度飲もうねーー♪バイバイー」
って


一瞬…
え?
うん
でもなんか
このまま別れちゃうのって
まずくない?
って
近づこうとするも

こっちを一瞥した4人組
皆目が据わってって
ぶっちゃけ怖い!!!
地元の学校の先輩(バイクとかケンカとか大好き)
に似ている雰囲気

そして
さっきまでの
ライトな物言いとは真逆の
U作の
危険だから!
 さっさとこの場から立ち去れ!!!
 オレは大丈夫だから!!

的な無言の目ヂカラ

に圧倒されちゃって
その場は引きさがったんですけどね







そのまま
U作は
その4人組に囲まれて
駅と反対方向に歩いていっちゃいまして






ら…拉致されたのー?
ど…どこ行くのーー?
大丈夫なのーーー?
どうなってるのーーー?



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


どうする?
追いかける?誰か呼ぶ?
Aサンの携帯も分からないし
って
そもそもAサンはどこ行ったの?




あれこれ心配しても
結局何も妙案は思い浮かばず
暗い雰囲気のまま
えり友とは駅で別れまして


ただただ心配で
何度も何度も
U作の携帯にコールする事くらいしかできなくって
でも
常に留守電



終電車の時間が近付いてきちゃって
仕方なく
帰途につくことにしたんだけど



徐々に
気が気じゃなくなってきて
でも
今のえりサンにできることって
携帯に掛けるか
着信を待つこと
くらいしかないワケで





……
深夜近くになって
自室のベッドに潜ってからも
なかなか寝付けず
何度も枕元の携帯に着信がきていないか
そればかりを気にして…






ウトウトし始めたのは
もう明け方近い頃
遠くに
チュンチュンと
雀の囀(さえず)りを聴きながら
少しずつまどろみ始めちゃった
そんな時刻





ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ





突如!!!
枕元の携帯が着信!!!



ベッドから跳ね起き
ソッコウ携帯を手に取り
着信画面を確認!
画面には





U作




キターーーーーーーー!!!!!





直ぐに通話ボタンを押し
耳に当て

えり「も!!もしもし?!」








途切れ途切れな
雑音に混じった
くぐもった声で
U作「もしもーーーーーし」




えり「U作?」
U作「おーー えり?眠ってたー?」


なんか元気そう?
ちょっと安心



えり「ううん眠ってないよ
 起きてたよ」
U作「こんな朝方まで起きてるなんて
 お肌に毒だぞーー ゲラゲラゲラ」

えり「ってサ!もぉ!
 どうでもいいけど
 大丈夫だったの?」
U作「え?何が?」

えり「え?って…4人組に連れて行かれちゃったから」
U作「あーそうだねー心配かけちゃったー?」

えり「そりゃ…やっぱサ」
U作「わはははははは ごめんごめん」

えり「見捨てちゃったみたいでゴメン」
U作「いやいや全然(問題ナシ)
 むしろ
 あそこで絡んでくれなくって良かったよ
 余計複雑になっちゃう所だったから」

えり「そうなんだ…良かったー」
U作「いやー結構これがまた大変でさー(笑)」

えり「(笑)的な話なワケ?」
U作「ハハハハハハ全然!
 むしろ逆
 むしろ修羅場
 もうヤバヤバ!
 奴ら皆
 超血の気の多い連中ばっかでさー


えり「ケガとかはしてない?」
U作「ないないーー大丈夫ー
 まあ胸倉掴まれたお陰で
 タンクトップがちょっと破れたけどねー
 別に安物だからいいけどさー ワハハ」

えり「なによそれ?
 胸倉掴まれたってーて
 全然ヤバい感じじゃん?」
U作「アハハハ
 まあ
 色々あってさー
 経緯…聞きたい?」

えり「うん!!聞きたい聞きたい」




長いオハナシになるので
【ハタチの頃3】」に続きますね

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223、【ハタチの頃3】U作6

【19の頃】

………
【ハタチの頃1】
【ハタチの頃2】
【ハタチの頃3】←今ココ



☆☆☆☆☆☆☆☆☆



早朝
自室のベッドの中
パジャマ姿のまま携帯を耳に当て
時折雑音の混じる中
U作からの経緯報告


えり「結局どういうことだったの?」

U作「わはははお騒がせしましたー
 まー要は隣の4人組とAが揉めたワケ」
えり「それってえり友のせい?」

U作「うーん両方とも酔っ払ってたからねー
 ちょっかい出したの出さないの
 肩が触れたの触れないの
 そんな些細なコトが発端らしかったけどね
 で店内のトイレの前で揉めたんだけど
 『おもて出ろ!!』ってことになって
 4人+Aとで
 ぞろぞろと出てったワケ」
えり「ウンウンそこまでは知ってる」

U作「でーーオレが
 仕方なく仲裁に入ろうと思ったんだけどサ
 見に行った時には既にもう
 掴みあいのケンカっぽくなっててさ
 あ…こりゃヤベーナと思って」
えり「うんうん」
 
U作「と思って『あーあのー』って声を掛けたらサ
 いきなりAが『おい!逃げろ!』って言って
 そのままダッシュで遥か彼方!」
えり「えーー?」

U作「だろー?オレも事情がよく分からなくて
 なんかその場でキョトンとしちゃってサ」
えり「え?Aサンは?」

U作「走ってどこかに行っちゃった」
えり「うっそーー」

U作「結果的に見失っちゃったらしいんだけどさ
 4人組のうち2人がAを追っかけて行って
 その待ってる間
 坊主頭に眉毛のない一番怖そうな兄ちゃんに
 『お前は逃げるなヨ!』とか言われて
 腕掴まれてさー マジ拘束」
えり「こ…こわいー」

U作「結果…何かワケも分からず
 オレが4人組に囲まれちゃった…って構図なんだけどね

 その坊主頭眉なしクン…
 4人のボスっぽいし坊主頭だから『ボズ』って呼ぶネ
 
 そのボズが
 年少だか鑑別所だかから最近出てきたばかりらしく
 …傷害?って言ってたかな?
 その出所祝いで
 地元の仲間と集まって飲んでたんだって
 4人とも見るからに悪そうな連中だったろー?」
えり「うんうん ガテン系ヤンキー風」

U作「ははははは 上手いこと言うねー
 そのガテン系ヤンキー風の4人組に一斉に囲まれてさ
 いきなり!ガッ!!てサー
 胸倉掴まれたヨ俺ー
 生まれて初めての体験ー
 超ビビりまくりー ハハハハハハ」
えり「笑ってる場合?」

U作「いやほんとだね(笑)
 笑いごとじゃなかったよーー
 いきなり胸倉つかまれてサ





 『ヤツ(A)の居所教えろ!』
 と来るワケよ」
えり「胸倉掴まれて?4人に囲まれて?怖い怖い!!!」

U作「ただーーーー
 皆 オレよりも背が低くってサー
 だから全員オレのこと見上げてるんだよー
 その部分だけ萌えたーーワハハハハハハ(笑)」
えり「萌えてる場合かー!」

U作「で 反射的に言ったのが





 『いや知らないんだけど』
えり「はいー?そんなの信じるわけ…」

U作「うんうん!そりゃそうだ
 超怖い目で『知り合いだろ?!嘘付くんじゃねえ!』って
 殺されるかと思った(笑)」
えり「そりゃそうだ」

U作「だからーーー瞬間的に思いついて言ったサ





 『イヤホント!実は今日初めて会ったヤツなんで』
えり「んなアホな」

U作「1人で街歩いてたら『一緒にツルんでナンパしない?』
 って声掛けられて
 で一緒にナンパしてただけのヤツ…
 だから名前も連絡先も知らない…って」
えり「いやないわー」

U作「まあーー
 オレの演技力が良かったのか
 奴らの根が単純なのか





 
 『あっそういうモンなんだ?』
 って納得してたけどネ」
えり「そうなのーー(驚)?」

U作「そうそう!嘘みたいだけどコレ本当!!
 ていうか その時って
 ぶっちゃけ
 Aのことはどうでも良くってさ 

 とにかくー
 男同士(オレとA)も初対面
 女の子も今日ナンパして初めて知り合った相手
 ってハナシにしとかないとサ
 
 『お前じゃ話にならない
 連れのあの女子たちを問い詰めようぜ!!!』

 みたいなコトになったら面倒じゃん?」
えり「うわうわー
 あんな怖い人たちに囲まれたらマジメに怖いーー!」

U作「だろだろ?オレの嘘もバレちゃうしサ
 ちょっと気の荒い連中だったから
 えりたちまで乱暴なことされちゃったらサ
 さすがに…それだけは避けようと思って」
えり「だから『さっさと帰れ』…って?」

U作「うん
 取り敢えずオレ1人でなら
 なんとかボロが出ずに対応できるかなー?ってネ」
えり「あの状況でU作…結構色々考えてたんだ
 何か助けてもらったみたいで ありがとうね」

U作「はははは
 まあイイんだけどさ
 その後が結構大変でさー(笑)」
えり「その後?どうなったの?」





U作「え?仲良くなったよ
えり「はぃ?」

U作「え?何?」
えり「誰と仲良くなったって?」





U作「囲まれて胸倉掴まれたらいつのまにか仲良くなったでござるー♪
 ミタイナ?」
えり「意味がわかんない」

U作「ハハハ なんか流れでサー
 『Aのヤツどこ行っちゃったのかな?』
 って言う風にハナシを持ってったワケ
 そしたら4人組…『そうだそうだ今から探そう』
 みたいな空気になって
 『じゃっ俺も一緒に探すよ』って
 どーせAのヤツ
 その辺にウロウロしてるわけないし
 見つかることもないだろうと思ってさ」
えり「うんうん」

U作「そしたらその ボズがさ
 …義に厚いっていうか
 …情に脆いっていうかサ




 『お前いいヤツだな』とか言い出しちゃってYO~~

 そのまま朝まで飲み明かしーー☆
 途中で銭湯の道具の入った袋無くして超最悪ーー☆
 でも飲み代全部ボズのおごりで軽くラッキー☆
 店にある金箔入りの日本酒
 5人(オレ+4人)で全部飲み干しちゃってサーー☆ 
 緊迫した雰囲気が一転金箔飲み干しーー☆ッてかー?」



もう!
アタマいいんだか
能天気なんだか
よく分からないわ
このヒト…






…………

U作「ところでさー
 えりン家の最寄り駅って
 サイタマ県の〇〇駅だったっけ?」
えり「え?そうだけど?」






U作「実は今その〇〇駅あたりにいる
えり「えー?何で何で何でーーー?しかもこんな早朝にーー?」

U作「いや さっきの話な
 まだまだ続くんだけどさー

 渋谷で飲んでたんだけどさー
 そのボズの舎弟みたいのがいて
 わざわざ千葉県から車で迎えに来たんだよー
 おー♪
 これで解放されるー!
 と思ったらさ
 ボズがさ
 オレのこと





 『自宅まで車で送っていく』



 とか言いだしちゃってさ」
えり「ていうか自宅って歩いて10分じゃん…」

U作「そうそう
 ただ自宅は教えたくないじゃん?
 なんかサAのこともあるし?
 で
 『いいよいいよ』って断ったんだけどサ
 『渋谷から凄く遠い』とか
 『千葉と方角が全然違う』とか
 口から出任せばっか言ってたんだけど

 その舎弟に
 『おう!お前大丈夫だよなっ?!』

 舎弟も『大丈夫っす!!』

 って
 何 仰(おっしゃ)ってるんすかーーー???
 舎弟(しゃて)ーーーー!
ミタイナーー?」
えり「ていうかマジメな話の合間に
 ちょこちょこギャグ挟まなくっていいから」

U作「ハハハハハハハハ
 でさー
 大学の友達が
 サイタマ県の北の方のXX市に住んでてさ
 舎弟が『ご自宅はどちらッスか?』とか訊いて来て
 思わず『XX市』って言っちゃったんだー」
えり「うんうん」

U作「そしたら周りの奴らが
 『ボズくん…XX市ってハンパなく遠いよ』
 『時間掛かるよ』
 『やめといた方がいいって』
 って説得し始めてさ
 心の中で『もっと言えーー!』って叫んでたんだけどサ




 『よし!XX市まで送っていくゾ!!』
 とか言いだしちゃってさーーー
 もう勘弁
 ボズ君
 根は優しいんだろうけどサ
 周りが止めても全然聞く耳持たないシー
 さすがに
 今更『ウソでしたー』とも言えず
 オレ完全涙目ーー!」
えり「渋谷駅からXX市までってどのくらいの距離なの?」

U作「地理的に表すと
 『渋谷駅→→<電車で約1時間>
  →→〇〇市(えりサン最寄駅)
  →→<更に電車で約1時間>
  →→XX市』」
えり「うっわーー2時間くらいーー?」

U作「まあ早朝で道が空いてたから
 実際には車だと2時間弱くらいで着いてサ
 適当なトコで降ろしてもらってサ
 ケイタイの連絡先教えて…って言うから教えた」
えり「えーー?じゃまた電話掛ってくるかも?」





U作「教えたのはウソの番号だけどね
えり「はーー?」







…………

U作「でーー今電車に乗って家に帰る途中
 通勤ラッシュ前だから車内ガラガラ
 つうかこの車両オレしかいない」
えり「今どこらへん?」

U作「あっ今〇〇駅を通過したー
 えり家の方に向かって手を振ってるヨ
 おーーい(笑)」
えり「ってウチ
 電車から見えないから」

U作「ハハハハハハ
 ってなことで
 そろそろケイタイの電池が切れそうだー」
えり「あ…うん」

もう終わりかー(寂)



U作「あっそうだ!」
えり「え?」

U作「今日は一緒に喋れて楽しかったよ 」
えり「///あっ♪ うん///私も」

U作「<ザザ>え?  …な<ザザ>に?」
えり「私も!楽しかったヨ!

U作「う<ザザ>ん また<ザザ>今度…<ザザ>の」
えり「え?なに」

U作「<ザザ>た こん<ザザ> <ザザ>2人で一緒<ザザ>  に」
えり「え 聞こえないよぅ」

U作「<ザザ>飲みに<ザザ>  う<ザザ>」
えり「うん?なに?」

マタ今度?2人デ?一緒ニ?飲ミニ?行コウ?

U作「<ザザザザザザ>」
えり「ウン!ウン!行こうね!

U作「<ザザザザ>じゃ<ザザザザザザ>ねー」


ツーッツーッツ



えり「え」




もう!
最後の肝心なトコォ!!!!
聞き取り辛いィィィ!!!

ちゃんと答えたからネ!
間違いなく誘ってよッ!



☆☆☆☆☆☆☆☆☆






高校生の頃にはあんなに門限に厳しかったえりママも
ハタチを過ぎてからは
ほんの少しだけ
夜遊びも許してくれるようになって…


だから
U作からの誘いを一日千秋の想いで待ってたんだけど


結局その後
U作からのモーションは全然なくってサ











そんなハタチの夏頃のU作とのエピソードでした






2人きりの飲み会が実現するのは
それからずーーっと後のオハナシ




【ハタチの頃】編 おしまい
【21の頃】編 に続く

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225、【21の頃1】U作7

【19の頃】
【ハタチの頃】

………
【21の頃1】←今ココ
【21の頃2】
【21の頃3】
【21の頃4】
【21の頃5】



☆☆☆☆☆☆☆☆☆



久々に集まろうよ的ナ
流れで実施された
バイトの時の仲間の飲み会

今でもバイトを続けている人や
卒業して社会人になった人
えりサンみたいにバイトを辞めちゃった人とか
結構 
みんな集まって
総勢30人くらい?


おひさしぶりー
わぉー
おげんきー?
こんばわー☆
みたいな感じで 
皆と再会を喜びつつ






U作とも久々に再会

あれーーー?
ひさびさぢゃんーーー?
くらいなカンジのリアクション
直接会うのは一年振りくらい?
あのナンパ事件(?)以来?

ていうか
なんか素っ気無いしー
まー
別にいいんですけどー


一応
気合入れてきましたけどネー
ていうか
前の日にパーマかけちゃったりとかしてー
気合入れすぎた感が否めないんですけどー


いきなり!
目が合って
第一声が
「お?えり?久々じゃーん なんか芸能人のアノ人に似てない?」
とか言われて

えり「えー/// ダレダレ?」
U作「えーーっとーーー 誰だっけ?名前が出てこないな」

えり「えー?気になるんですけどー」
U作「えーーっと …って   お? 〇山ーー!久しぶりー!!」

えり「……」
U作「え?X川も来てるの?マジでー?」

はーーーーーー?
そのまま置き去りにされ
向こうの方で
仲間に囲まれて談笑しているU作

で!結局ワタシは誰に似ているワケ?
とか思いつつ

飲み会がスタート


そんな
大学3年の晩秋
金曜の夜
渋谷駅センター街の居酒屋






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


テンションが若干高めな状態で始まった飲み会
幹事役・兼盛り上げ役のU作を
遠目で見ているだけの
そんな えりサン
当然会話ができる余地もないワケでして



U作♪
大学…無事卒業できたんだネ おめでと♪
もう社会人なんだネ 仕事はどう?
ネクタイ姿が ちょっと大人に見えるね
って
なんか…話しかける言葉を探してるんだけどサ

U作ってば!
常に周囲には人だかり
話題の中心



たまたま
ビール瓶を持って
「おー!ここでちょっと休憩するワ!軽く飲みすぎたわ」
とか言って
えりサンの隣の席に座ったの!!!

ラ・ラ・ラ・ラ・ラッキィ♪
軽くドキドキしつつも
なんか話しかけようかな
えっとぉ
って思ったのも束の間
ソッコウ反対方向のヒトに呼び止められ

そのまま
席を立ち
去っていくU作



ちょっと
消化不良(もう!


結局
直接交わした会話は
ほんの二言三言



まー
いいか



あっちは
人気者

周りが放っとかないワケでしょ?

こっちは
適当に飲んで
適当に食べて
チラ見しつつも
なんとなく周りと会話を合わせて


まー
それでいいヤ



…………

会計タイム
幹事サンの
「男子は〇千円ねー!女子は千円でいいやー」
みたいな?

はーい
いいんですかー?
とか言いつつ
千円を払い
今から帰れば
ドラマに間に合うかな?
一応録画はしてきたけど…
とか思いつつ
皆に付いて
駅に向かって歩き出そうとした時




背中越しに掛けられた一言











なに?えり もう帰るの?

えっ?








背中越し
いきなり声を掛けてきたのは









U作!!!!!










「う…うんー もう帰ろうかなーーと」
軽くキョドりつつ言うと

「2次会行くんだけどサ
 一緒にどう?
 △△サンがサ
 店長やってる店なんだけどサ
 お前 結構お世話になったろ?」


何人かで
昔のバイト仲間がやっているお店に移動するらしく


えり「えー どうしよう」
U作「ていうかさ


  あんまサー


  ハナシできなかったじゃん?





え?
まじで?




ハナシ




したかったの?私と?




逆でしょ?
色々尋ねたいのは
こっちの方でしょ?





「な?行こうよ!」なプッシュに
「ウ…ウン…♪まあいいけど」と押し切られまして

そのままU作たちの後に付いていく
えりサンなのでした



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


そのお店に移動したのは
U作と 
えりサン
U作と仲良しのKサンと
その彼女(同じバイト仲間)の4人


Kサンも彼女サンも
皆年上のお兄さんお姉さんみたいな存在
バイト中 よくポカしたところを
みんなでフォローしてくれて…
ほんと感謝感謝♪



大人っぽい雰囲気の洋風居酒屋
ビール・ワイン・サワーにカクテル
サラダ・カルパッチョ・ピザ・パスタ
店長サンのサービスで
どんどん彩られていくテーブル
弾む会話
盛り上がる雰囲気
楽しく過ぎ行く時間


何よりも嬉しかったのが
さりげなく
U作の横に座れたコト

お酒を飲みながら語り合うU作を
横からチラ見しつつ

このヒト
喉仏が大きいなー
違う!
首が長いんだー
ワイシャツ姿…カッコいいー♪
とか
超ムダな思考回路炸裂だったんだけどネ




途中
K彼女姉さんが酔っ払っちゃいまして
かなりのご乱行

Kサン「U作ワリィ ちょっと こいつタクシーで送っていくワ」
U作「泊まっていけばいいじゃん ウチに」

Kサン「あー… また今度な 今日は帰るヨ」
U作「おう じゃあ 気をつけてな」

Kサン「また飲もうな」
U作「うん 電話するよ」







って









気づいたら
U作と2人っきりーーー









うそー!
いいの?いいの?
とか思いつつ
店長サンが気を利かせてくれて
カウンター席に移動させていただいて
そのまま
2人だけの飲み会




そんなシチュエーション



突然



U作がネ







尋ねてくるのサ






U作「えりってサ…今 彼氏いるの? 




【21の頃2】に続く

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226、【21の頃2】U作8

【19の頃】
【ハタチの頃】

………
【21の頃1】
【21の頃2】←今ココ
【21の頃3】
【21の頃4】
【21の頃5】



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



U作と2人っきり
並んで座るカウンター席
そんなシチュエーションに軽くドキドキしつつ



突然U作がネ
尋ねてくるのサ




U作「えりってサ…今 彼氏いるの?





………

えり「え?何で?」
U作「いや なんとなく」

えり「まー 
 いるような いないような」
U作「あーーー
 そうなんだ?そうだよなー
 やっぱなーウンウンそうだなー」


ていうか
昔バイトしてた
地元サイタマの
ファミレスの後輩なんだけど

一方的に告白(コク)られて
勢いに押されて
何回かご飯を食べたり
遊びにいったりはしたんだけど


なんていうか
しっくりこないっていうか
合わないっていうか
いつも会うと
軽くケンカっぽくなっちゃって


徐々に疎遠になってきちゃって
時折電話やメールが来るんだけど
何かいつも断ってたりして


そんな風で
最後に会ったのって
いつだったっけ?ミタイナ?

このまま自然消滅を待つばかり?
そんな状態

あーあ
なんかブルーだなー





なーんてコトを話しながら

言わなきゃよかったかな?
なんて思いつつ


ちょっと
軌道修正


えり「そっちはー?
 相変わらずブイブイ言わせてるんじゃないのー?」
U作「あー 今?絶不調だねー」

えり「へーっ 珍しいネ」
U作「ハハハハ
  結構いつもそんなカンジだってーー
  こないだ彼女と別れたばっかだし」

えり「あららら お気の毒サマー」


って
少し恋愛談義に入り






U作「かなり酔ったかな」
えり「さっきからペース速いんじゃない?」

U作「何杯目かな?」
えり「もう5~6杯くらい飲んでる?」

U作「ていうか」
えり「ハイハイ?次は何飲むの?」

U作「好きな人がいまーーす!
えり「   ………は?」



なにを
唐突に言い出すかと思ったら


U作「と…     言ってみた
えり「そ…そうなんだ」

U作「と…    言ってしまった
えり「へー 会社の人?」

U作「と…    勇気を出して言ってみた
えり「大学の時の?」

U作「違う」
えり「………バイト先の?」





U作「…………」
えり「………?」

U作「…………」
えり「………?」





U作「でサ!聞いてくれる???」
えり「さっきから聞いてるんですけど」

U作「あ そっか」
えり「うん!   で?」

U作「その相手がサ…
 どうやらーー彼氏がいるらしい」
えり「あらららららららら 
 あるあるーーそのパターン」

U作「でもナ!!!
 ここ大事なんだゼ!!!聞いてくれる??
 その相手サ!
 最近上手くいってないらしい その彼氏と」
えり「ほほうで?
 チャンスを窺(うかが)ってるーーってワケ?」

U作「実は   



 か な り




 窺(うかが)ってる

えり「ふむふむ 
 じゃあ玉砕覚悟で行っちゃえばいいんじゃない?」



U作「行くべきだと思う?」
えり「………え」 

U作「どう思う?」
えり「………え」

U作「いや マジメなハナシ」
えり「………」




ていうか



あのぉ




視線を逸らしてくれませんか?
こんなに間近で
男性に直視されるのって
最近あまり無かったモンで
って
…そんなにガン見されちゃうと
何か
勘違いしちゃうヂャンかよぅ!






え?

まーー
さーー
かーー

ワタシ?


また また また また またーーー!!!
ないないないないないないない!!!!!!



勝手に湧き出てきた
脳内妄想を
必死で掻き消し





軽く酔ってる?のカナ…?ワタシ…




えり「ハイハイハイハイ 
 玉砕覚悟で行ってらっしゃいーー♪」


U作「マージーでー?!
 やっぱり行くべきかな?」
えり「まぁ骨くらいは拾ってあげるよ アハハハハ」



U作「……玉砕かぁ…」
えり「…………」



U作「……………」
えり「………で?なに?」



U作「…まーウン!止めとこう」
えり「はーーーーーーーーー?なんでー?」



U作「相手は彼氏がいるんだぜ ムリだろ普通」
えり「まー 普通はネー」



U作「だよなーーーー!!!」
えり「でもサ
 ダメ元で 言うだけ言ってみれば?」



U作「うーーーーーーーーん!!!いやームリ!」
えり「いつも 
 結構サクサクってアタックしてるんでしょ?
 センター街でナンパしてた時みたいにさ」



U作「いやいやいやー 
 ナンパと一緒にするなってー今回はマジだもん」
えり「なにそれ?」



U作「ダメだったら 多分立ち直れない俺」
えり「意気地なしーーー(笑)」



U作「じゃあ えりなら行く?彼女ありのオトコに?」
えり「行かないネ!」


U作「だろー?」





そんな他愛のない会話を続けつつ
狭いカウンター席
徐々に混雑し始めた店内
お互いに
左右に座る両隣席の客から押されつつ




少しずつ

ほんの少しずつ


肘が触れ

腕が触れ

肩が触れ

指先が触れ

気が付いたら

吐息を感じるくらいの距離





薄暗い店内
流れるBGM
目の前でシェーカーを振るバーテンさん
手持無沙汰風に
氷だけになったグラスを持ち
傾けながら 
残りのカクテルを飲み干すU作


そんな密着した位置で
U作の横顔を見つめる私



なんか…








まずくない?      何ガ?





うーーーーん♪



近づきすぎる2人の距離が…さっ






身も      心も…♪






【21の頃3】に続く

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227、【21の頃3】U作9

【19の頃】
【ハタチの頃】

………
【21の頃1】
【21の頃2】
【21の頃3】←今ココ
【21の頃4】
【21の頃5】



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



狭いカウンター席に並んで座る
U作と 
私…えりサン
思わぬ僥倖に見舞われて2ショットになれちゃったー♪
軽くラッキーとか思いつつ


2人っきりになれたはいいけど…
何話そう…
共通の話題はーー
えーーっとぉ
会うの1年ぶりだしーー

って
そんな不安は
まさに杞憂でして
取り越し苦労でして
無用の心配でして

とにかく
途切れない会話
盛り上がる雰囲気
どんどん近づく距離
(物理的…そして心理的に)





…………

夜も更けるにしたがって
徐々に混雑しはじめ
喧騒とタバコの煙が充満しだした店内


次々に杯を重ねるU作
普段から乗せ上手なカレ
酔ってるの?それとも「地」?
とにかく賑やか
とにかく面白い
とにかく饒舌

何杯目かのグラスを飲み干すと即 
カウンターに次のアルコールを注文
そんなU作を
微笑ましく眺めていた私

イキナリ!!!
「おっ!?」みたいに
ワタシの手元のグラスを見て


急に



U作「なになに?
 さっきからオレばっかり飲んでネ?
 ずるくネ?
 すみませーん!店員さーーん!
 このお姉さんに同じものをお替り!」
えり「えー?ちょっと!やだー!
 まだ半分以上残ってるよー」

U作「さっきから全然飲んで無いじゃん!
 さっさと空けちゃえって!」
えり「えー無理ーー」

U作「ちょっ!!!!お前…もしかしてー
 オレばっかり酔わせて…」
えり「はー?」

U作「まさか!オレのカラダが目的か?」
えり「いらない いらない(笑)」

U作「ほら!
 早く飲み干しちゃえってーー



 隣のお兄さんも待ってるよ 


  
 ね?」←イキナリ!
隣席男「えぇっ(焦)?!!!!」 

U作「ほらほら 
 お隣のお兄さんも
 このお姉さんのカッコイイ飲みっぷり
 見たいッスよね?」
隣席男「え? …は…はあ(汗)」

えり「ちょっと止めてよー
 なんか…
 ホントすみませんー(涙)」
隣席男「あ…   いえー」

U作「ほらほらほらー もう次のグラス来ちゃってるよー」
えり「ええええ もう!店員さんったらー!」

U作「ほらほら!さっさと飲み干すのが礼儀」
えり「えー!」

U作「…と


 
 隣のお兄さんが仰(おっしゃ)ってるよ!
 目で! 
 早く飲め…って」
隣席男「…あ   いえ  そんな///」
えり「ホント スミマセンーーーー///」





こういう雰囲気って…
何年ぶり?
いやいや 違う!
多分初めて!

なんか
イヤじゃない…
ていうか
むしろ楽しかったりして…

最近
お酒を飲む機会なんか殆どなくって
だから飲み会でもサワーを半分
このお店に移っても聞き役に専念
カクテル1杯でごまかしてたんだけど
U作との2ショットになっちゃってから



果てしなく続く 
飽きない話題
U作を独占してるっていう至福感
冗談を飛ばしつつヒジでツンツンしてくるU作の腕を 
軽く叩き返したりしつつ
ちょっと寄り添ってみたりして…
///キャー♪


何年も付き合ってきたかのような一体感
ツーと言えばカー 
阿と言えば吽 
ピューと吹く!ジャガー
そんな会話のキャッチボール
(「ピュー(略)」は特に意味はありません…念のため)

U作の話に
ついつい真剣に聞き入りつつも
さり気なく
こっちの話を上手く引き出す術
油断してると
いつの間にか
色々と
自分語りを始めてるワタシ

時に隣席の他人や店員さんを巻き込んで
必要以上に盛り上げる
その愛すべきキャラクイター



そんな一夜






ついつい



呑んでしまった!!!     …お酒を
飲まれてしまった!!!    …雰囲気に
酔わされてしまった!!!   …U作に








微かに火照った頬
自分でも信じられないくらいの大胆なボディータッチ
こんなに笑ったのはいつ以来?

そんな風に
カラダは軽く酩酊状態なんだけど
でも
不思議と
アタマは冴えてる…



U作の腕を掴みつつ
肩に寄り添い

ホント


ヤバイ




洗いざらい    …晒(さら)しちゃいそう
全てを    …委(ゆだ)ねちゃいそう
何もかも    …許してしまいそう




いつ以来だろう
一人の男性に
全面的に寄り掛かっちゃったのは…





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

タバコの煙が充満する
狭い店内
紫煙が苦手なワタシ

周囲のタバコのケムリに
軽く
気付かないように
コホッ
ってしたら

U作「もう出ようか?」







もう終わりなんだ…   チェッ









会計を済ませ
外に出る2人

深夜になっても人通りの絶えない渋谷のセンター街
そのまま
木枯らしの吹く街角の喧騒の中
なんとなく
人の流れと反対方向に
肩を並べて歩きつつ
U作に寄り添うような
ちょっと離れるような…


終電車に間に合わせるべく
足早に歩く男性と
一瞬
肩と肩がぶつかり


男性「失礼」
えり「あ! ハイ   イエ…   スミマセン」
そのまま去っていく男性

U作「大丈夫?」
えり「え ウン」

U作「相変わらずトロいなー」
えり「ハイハイ すみませんねー」

とか
昔ながらの憎まれ口




いきなり
ギュッって
引き寄せられた左腕
背の高いU作を斜め上に見上げると
言い放つ一言
「気をつけろよ」


ウン♪
気をつけるネ///







目を逸らしたままのU作が
言うワケ





U作「えーーーーーーーーーーーーーー
 っとーーーーー












 どうしようか?
   



 今から















どうしてくれるの?













そのまま
なんとなく歩き続けてたら
繁華街を抜けちゃってサ








U作「終電…で帰る?」











もう!!!!
そんなにサ!
心細そうに言うなよぅ!





腕時計を見ながら

えり「うーーん
 …終電
 多分もう
 間に合わない…と思う」



軽く
助け舟





U作「……そっかーー」















オイーーーーーーーーーーーーーー!!!
この言葉ーーーーーーーーーーー!!!!

どんだけ
勇気を込めた言葉だと思ってるワケ!!!!!



きっちり
リアクションしてよネ!!!












U作「つーかサー」
えり「………」

U作「言うだけ言ってみようかなー?」
えり「………?」

U作「……………」
えり「………?」

U作「あのサー    
 彼氏アリの相手にサ」
えり「………? 」

U作「たまには



 勢いで言っちゃうんだけどサーー!!!」
えり「………」

U作「えり!!!」
えり「……うん?」








U作「今夜    付き合わない?
えり「はー?」

U作「『はー?』かよ?答えは?」
えり「いや 意味が分からない」

U作「なるほど!」
えり「ハイー?」

U作「付き合ってくれ!」
えり「いやー 今…既に付き合ってるし」

U作「おーーー!!!そうかーー!
 ていうか
 違くってー
 そのー
 なんだ?えっとー」
えり「酔ってる?」

U作「色んな意味で酔って は いるけど」
えり「大丈夫?」


U作「あーーーーーーあははははははははは」

笑ってごまかすなよぅ!




U作「……」
えり「……?」



U作「……」
えり「……?」






U作「オレの部屋に…
えり「……うん?」













U作「来ない?

















えり「えー?






 …まー













 ……いいケドォ///







週末の深夜
じっくりと話し込んで
アルコールも入り
2人の距離は超急接近

もっと2人っきりでお喋りしたくって
ずっとU作のハナシを聞きたくって
U作に甘えていたくって
一晩だけでもいい!U作を独占したくって
ここで断ったら
夢のような一夜が終わってしまいそうな…
そんな気がして




ついつい






OKしてしまったー♪











繁華街を抜け
歩いて10分弱程度の
U作のアパートへ



いつしか
手を繋ぎ
吐く息を見て
お互いに「白いネー☆」なんて言いながら




向かったワケでして…






【21の頃4】に続く

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229、【21の頃4】U作10

【19の頃】
【ハタチの頃】

………
【21の頃1】
【21の頃2】
【21の頃3】
【21の頃4】←今ココ
【21の頃5】



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



U作のアパートを訪れるのは
約2年ぶり!


相変わらず
立て付けの悪い
摺りガラスの引き戸
薄暗い玄関スペース

タタキの横に設置された
少し埃っぽい木製の下駄箱に
U作の革靴と
えりサンのブーツを押しこみ

ミシミシと鳴る
板の間の廊下を伝って
U作の部屋へ



広さは8畳くらい?
背の低いパイプベッド
サイドにティーテーブル
小さなテレビとビデオデッキ
押し入れに整然と掛けられた
スーツやワイシャツ 
革ジャンにジーンズ等々
部屋の片隅には電気ストーブ



コートを預けると
手慣れた手つきでハンガーに通して
さりげなく壁に掛けるU作
クッションを差し出され
なんとなく
所在なさげに 
その場に正座するえりサン


途中のコンビニで買ってきた
缶ビールとポテチを
テーブルに広げ

上着をハンガーに掛け
ワイシャツの第2ボタンまで外し
ネクタイを緩め
真向かいに胡坐をかいて座るU作


テーブルを挟んだ2人の
微妙な距離…

さっきまでいた
お店のカウンター席では
ふざけて叩きあったり(軽くネ)
寄り添ってみたり
腕に掴まってみたり
帰り道では
手を繋いで歩いてみたりしてたのにぃ




なんか
遠いんですけどーー!!!


なんも
できないヂャン! (なにを?








☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

取り敢えず
そのまま向い合せのまま
缶ビールでカンパーイ

まあ
それでも
そこそこ盛り上がる会話

U作の色々な話がたくさん聞けて
とても有意義なヒトトキだった





えり「お風呂ってどうしてるの?」
U作「え?銭湯だよ」

えり「洗濯機とかないけど 洗濯は?」
U作「銭湯に行ったついでに
 隣のコインランドリーで済ませちゃうよ
 スーツやワイシャツはクリーニングに出しちゃうし」


えり「冷蔵庫もないけど?」
U作「ペットボトルとかは窓の外に置いとけば 
 この季節は充分冷えるよ」

えり「えー?じゃあ夏とかは?」
U作「その都度コンビニに買いに行くし」


えり「キッチン…カセットコンロが一個あるだけなんだけど」
U作「料理しないし
 カップ麺か 
 コーヒー飲む時くらいしか使わない」

えり「えー?じゃ
 ご飯はどうしてるの?」
U作「学生時代は 外食・学食・バイト賄い 
 これで充分
 今は専ら外食がメインだなー」


えり「カラダ壊さない?」
U作「ハハハハハ大抵は大丈夫だね
 
 ただサー

 大学4年の正月にさー
 一人この部屋に籠って卒論執筆してたらサ
 食糧が
 カップラーメン1個と吉野家でもらってきた大量の七味しかなくって
 しかもストーブ調子悪くなっちゃってサ 
 最悪だろー?寒いし腹減るしーー
 で
 仕方なく
 お湯沸かして
 カップラーメンに大量に七味入れて食べたワケ
 一瞬カラダが
 バッって火照ってサ
 うほっ…こりゃいい暖房!とか思ったんだけどサ
 しばらくしたら
 なんか
 胃の辺りが…気持ち悪くなってきちゃってさ(笑)
 そのまま毛布に包(くる)まって
 寝込んじゃったヨーー(笑)
 卒論 放置ーーー  ミタイナ?(爆笑)」

えり「えええええ?大丈夫だったのーーー?」
U作「結局朝まで眠っちゃってサー
 起きたら
 なんか胃も治ってってサ
 ついでに
 ストーブ治ってたんだよーハハハハハ
 果報は寝て待て 
 ってかー?(能天気)」


なんていうのか
すべてが新鮮!
ワタシの常識から全て逸脱した予想外の返答!
ワタシの持っていないモノをたくさん持っている!的ナ?
刺激的っていうか
別世界の住人っていうか
自由人…野生児っぽい?
でも粗野な感じではなくってネ
結構キレイ好きだし
細かいトコは妙に細かいヒトなんだけど
(身だしなみとか・衣類の収納とか・整理整頓された室内とか)
ただ
拘(こだわ)らないトコは超アバウト?


なんか
ますます好きになりそうで///
ヤバイ





そのうちにネ
つい最近別れちゃった
U作のモトカノの話になっちゃいまして
(いやー流れでサ)


U作の5コ上
バツイチ
小学生の娘サンと2人暮らし
元モデル(わぉ!)
浮気が原因で離婚した旦那サンは芸能界関係(ひゃぉ!)
多額の慰謝料と月々の養育費のおかげで
住まいは港区の某高級マンション(なんとかネーゼ?)




えり「元モデルさんとか 芸能界とか 高級マンションとか
 なんかスゴイ世界だね」
U作「まー 別に普通だよ
 結局別れちゃったしねー」

えり「そっかー」
U作「かなり凹んだ」

えり「そっか」
U作「結構ひきずったりしてさー」
 
えり「…うん」
U作「………でも」

えり「…うん?」
U作「最近ちょっとだけ立て直してきた…ハハ」

えり「…うんうん 良かった良かった」
U作「…で」

えり「…うん?」
U作「今に至る」

えり「…ハハ」
U作「今…この状況に至る

えり「………」
U作「………」










しばし沈黙










なんか




来る?




来るの?

 


来ちゃうの?







あああああああああああああああ
ちょちょちょちょ





ゴメン
ゴメン
ゴメンーーー!





なんか
不意にーーーーー











怖くなっちゃいまして…
ええ
スミマセン


「ちょっとゴメン」
って
そのまま
トイレに中座






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ここまで来て
なにビビってんの?!
勝負かけなよ!

肝心なトコで臆病風に吹かれた自分を嘆きつつ




玄関脇の
仄暗い共同トイレの個室
備え付けられた手洗い所で手を濯(すす)ぎ
そのまま
A3サイズ程度の
壁に貼られた鏡を覗き込む


気合を入れるために!
メイク直し!!
あぶらとり紙でシュシューの
ファンデーションをパパパーの
最後に口紅&グロスをぐりぐりーな
カンジで
サササと済ませ

鏡の中の自分に
よしっ!
ウンウン!
いいオンナ!
さあ!行っといで♪
と言い聞かせ!
…ぉおっととー!
でも
トイレットペーパーの三角折りは必須!







☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


U作「あれ?何か…   口紅…変わった?」
えり「え?ウン…まあ///」

U作「…………あ そっか」
えり「…………ん?」

U作「…………そろそろ始発電車の時間?」
えり「…………え?」


U作「…………」
えり「…………」

U作「…………」
えり「…………」


そのまま長い沈黙…




ち…
ちがうよ!!




違う違う違うーーー!!!!




帰り支度をするために
お化粧を直したわけじゃないのーー!!!!






何このヤバめな雰囲気






意を決したトコロで 
相手に中座されて
出鼻を挫かれ
なんか
言いたいんだけど
でも
言いあぐねてる?
そんなオーラを発しているU作



なんとかしなくちゃ!
なんとかしなくちゃ!
なんとかしなくっちゃーー!



どうする自分!?
どうする自分ーーーー!!!???



【21の頃5】に続く

| 【連載】U作 | 00:13 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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