エロ(えり)可愛い姉さんのランジぇりィ

原色系な高校時代。パステル系な大学時代。 黒系なOL時代。今?基本オールマイティ(ランジぇりィの色的な意味で)

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209、【透明な涙】紫煙と香水・12月

4月 【琥珀色の染み】←最初から
5月 【青いワイシャツ】
6月 【銀色のサンダル】
7月 【翠色のキャミソール】
8月 【真赤な日焼けの痕】
9月 【ゴールド・ランジェリー】
10月【ピンクのエプロン】 
11月【橙色の灯火】 
12月【透明な涙】←最終回!


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「あなたと出遭えてよかった。今一人、瞳を閉じる。心のアルバム捲(めく)れば、煌(きらめ)く思い出たちよ。」(「my graduation」作詞:伊秩弘将 唄:SPEED)高校時代、何度もカラオケで声を枯らして熱唱した曲。「愛が芽生えたJuly。最初のkiss。2人の合図。仲直りした夜。」「遠いX’mas eve。永遠を誓ったkiss。あの日くれたチョーカー。」「愛にはぐれたtonight 。最後のkiss 。ふたりのeyes。髪をかきあげる癖。」



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年齢が一回り以上離れた社会人の彼氏、お兄(ニィ)。出逢った時は、えりサンが15歳、お兄が29歳。最初はウェイトレスと常連のお客さん、って間柄。少しずつお話しできるようになって、思い切ってデートに誘って(誘われて?)、お兄の車の助手席に座らせてもらって、次に会う約束して…、ちょっとキスして…、そんな感じで始まった私達。

付き合い始めた当初は、デートする頻度はそんなに高くなくって、まあ…せいぜい、月に2~3くらい?恋に恋してた女の子が、恋愛上手なお兄さんに出会って、もう!まさに「恋は盲目」状態!会う度に、どんどん心も身体も密接になっていって…。そんな状態で学校が夏休みに突入!もう!生活が激変!毎日が、眠ってるか、バイトしてるか、お兄と会ってるか、お兄と電話で喋ってるか、お兄のこと考えてるか、ぐらいな?お兄と会えない所にバイトのスケジュールを入れる、みたいな?

高校一年生の、初夏から夏休みにかけては、本当に、何から何まで生まれて初めての体験尽くし。車の助手席、どきどきしながらのラブホテル、初めて結ばれた日、キーホルダーと一緒に貰った合鍵、2人で祝った16歳の誕生日、お気に入りのネックレス、おめかしして行ったフレンチのフルコース、お揃いのジャージを着て座った牛丼屋サンのカウンター席、お兄の誕生日に「記念に」って貰ったピンキーリング、色んな秘密の共有、色んな場所で交わしたキス。

そんな、熱に浮かされたような、…まさに夢のような毎日の夏休みが終わり、徐々に暗転するのは二学期が始まってから、夏休みと同じように、頻繁には会うことができなくなって、更に輪をかけてお兄の仕事の方も忙しくなってきて、お互いにすれ違いが多くなりつつあって。エアコンのない学校の教室、あまりの暑さに、クラスの男子の目も気にせずに、制服のスカートをパタパタやってた頃。通学時、朝陽に向かって漕ぐ自転車のペダル。おかげで、スカートとルーズの部分だけが白く、それ以外がこんがりと小麦色に焼けた素足、そんな 残暑厳しい二学期の初め…。

いつしか秋風が吹き始め、ベストを着用。更にその上に、制服のジャケットを羽織るような季節を迎え、ショートだった髪の毛も、かなり伸びてきた頃、マフラーと手袋が欠かせなくなった、そんな初冬。

お兄とは、会いたいのに、中々会えなくって、大好きなのに伝えられなくって、電話で喋ってると…、嬉しいのに、何か拗ねちゃって。会えない辛さ、会えた時の嬉しさ、そんな気持ちを上手に表現できなくって。そこに、会えない時のお兄に対する、嫉妬心や猜疑心が混ざって。もう私って最悪!!!!そんな自己嫌悪までがミックス!自分自身でもコントロールできないような、超カオスな精神状態。

たまのデート、どうしても甘えちゃって、意地悪になっちゃって、ついつい愚痴っちゃって、いじけちゃって、逆に無口になっちゃって、柔和なお兄を困らせてしまう。まさに、自分で自分の首を絞めている状態。友達に相談すると、「そんな態度とってたらアンタ捨てられるヨ!」って窘(たしな)められたりして、で!大いに反省!「次にお兄と会うときは もっと良いコでいよう!」って改心して。うきうきしながらデートの待ち合わせをしている時に限って、待ち合わせ時間寸前に、「ごめん!仕事が伸びちゃってて!待ち合わせに遅れそう。多分今からだと、会えるとしても一時間くらいしか時間作れないかも。」とかメール貰うと、「ふーん。あっそ。じゃあ、もういいよ!今日は帰る。」って返信。「ごめん…。」ってお兄。

バカバカバカバカバカ!!何でもっと相手の気持ちを慮(おもんばか)って、優しく対応できないワケ!?向こうだって、悪気があってのドタキャンじゃないでしょ!!!!!って、悔やんでも、もう後の祭り。結果、どんどん気まずくなる2人の関係。


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そんな時にネ!そんな時にサ!!そんな…超弱りきってる時にサ!!!もう!タイミングが良いんだか悪いんだか…。「襟原ー。バイト帰りにサー、メシ食いにいかねー?」(※襟原はえりサンの仮の苗字ネ)って、バイト先のファミレスの、キッチンでバイトしてる、同い年の男子から声掛けられちゃったりして。まあ、普段からお互い、冗談くらいは言い合う間柄ではあったんだけどサ。あ 、でも、2人っきりで、バイト先以外で喋るのって初めてかも。

そのまま、何となく自転車で向かった、近所のバイト先とは別のファミレス。奥まった窓際の席、2人向かい合い、料理には殆ど手を付けず、ひたすら続く、えりサンの愚痴を、2時間近く黙って聞いてくれた。その男子、すごく真剣な眼差しで、すごく誠実な物腰で、すごく真摯な態度で。そのうちに、少しずつその男子と、メールや電話をやり取りするようになって。でも、そんな男子の存在を、お兄に言えなかったりする自分がいて(今までは隠し事とか一切した事なかったのに…)。ちょっとずつ覚え始めた、後ろめたさ。

ある日突然、その男子からされた告白。「俺と付き合ってくれ。」
男子「俺なら、絶対寂しい思いさせないから!」
えり「何言ってるの。私には彼氏がいるんだよ。」
男子「それでもいいよ!別れるまで待ってるから。」
えり「無理だって…。」
男子「ずっと待ってるからな!俺、本気だから!」
えり「………そんなの困るよ。」

今まで考えてもみなかった、その時に初めて知らされた、「別れる」っていう選択肢。その後もひたすら、男子に何か言われてたけれど、空しく右から左へと通り抜けるだけ。ひたすらぐるぐる回る、その「別れる」というフレーズ。結局、うやむやな態度。イエスともノーとも判らない返答。でも、その後も、何となく、お兄と会えない分その男子と会う時間が増えてきて。

ああああああああああ!!この状況は…ヤバい!非常にマズい!!!!!!と思いつつも、何かグイグイ引っ張られていく…、っていうか、安易な方に流されてしまって、自分で自分がコントロールできない。そのまま徐々に、男子と会ってる時は、お兄へのメールの返信が遅くなって(いつもメール受信したら、ソッコウ返事してたのに!)。電話にも出なくなって(授業中以外は絶対に出てたのに!)、いつしか電源を切るようになっちゃって(いつもお兄からの着信を心待ちにしてたのに!)。

そんな気配を察したお兄から、問い詰められて。その男子の事、正直に白状して。気が付いたら、俯いたまま、ボロボロ泣いてて。でも、お兄まで一緒になって泣いてくれて。その涙を見て、あ何か私、いけないことしてる…って気付いて。結局、その男子とは、もうバイト先以外では会わない…、ってお兄と約束して、メールも電話もやめてもらうようお願いしたんだけど、結構素直に男子「ウン。いいよ。分った。」って言ってくれて、何か自分の馬鹿さ加減に、またボロボロ泣けてきちゃって。

でも、お兄となかなか会えない…って状況は、ほとんど変わってない訳で。今迄、愚痴の捌け口だった男子とも連絡を取らなくなっちゃって。いつしか、どんどん息苦しさだけが増していって…。そんな綱渡りな日々。


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ある日、友達とファミレスにご飯を食べに行って、色々愚痴を聞いてもらって。「こんなに辛いなら、もう、こっちから別れちゃおうかな。」なんて、できもしないくせに強がってみたり。でも、居ても立ってもいられなくって、「ちょっと電話してみるね。」って友達を1人席に残して、お店の外の駐車場、寒空の下、時折指先を吐息で温めながら、お兄とケイタイで1時間くらい喋って。何とか2人の関係が元通りに戻らないのか…、お互い一生懸命知恵を絞って。でも、

お兄「やっぱ…俺たち、もう無理なんだよ。ごめん。」
えり「何で?」

お兄「ホントごめん。」
えり「何でそういう事言うの?」

お兄「もう、喧嘩したくない…んだよね。」
えり「…………。」

お兄「ちょっと、疲れちゃった、かな。」
えり「…………。」

お兄「…………最近、いつも喧嘩ばっかりだったしサ。」
えり「……………。」

お兄「…そういうの、もう…ちょっと。」
えり「………………。」

お兄「……………………。」
えり「……………………。」

お兄「……………………。」
えり「……………………。」

お兄「…電話、…もう切るね。」
えり「…………。」

お兄「…………。」
えり「……………そんなの嫌。」

お兄「…えり、…さよなら。ホントごめん。」
えり「…………やだやだ。」

お兄「……………本当に、本当にごめん。」
えり「…………………もう会えない?」

お兄「………………ごめん。……切るね。」
えり「………………………。」

お兄「………じゃあ。……………。」ピッ

ツーツーツーツー

そのまま、呆然と、友達の待つ席に戻ったんだけど、
友「…………。」
えり「…………。」
何か混乱してて…、でも『ああ、友達を1時間近くも放置しちゃって、申し訳なかったなー。』なんて考える余裕もあり。
友「…………。」
えり「………やっぱり、駄目みたい…。私達。」
友「……そっか。」
えり「………ていうかサ、一方的に電話切られた。なんかムカツク。」
友「一方的はないよねー。」
えり「ねー、何も途中で、勝手に切ることないじゃんネー。」

そんな強がってるえりサンに、友が
「えりサー、そんなに頑張らないでサ、泣きたかったら、泣いたっていいんだよ。

その一言に、堪えていた何かが、堰を切ったように溢れ出てきて、目からボロボロボロボロ零れ落ちる涙。くしゃくしゃになる顔。どんどん落ちまくるメイク。少しずつ大きくなる嗚咽。明るく込み合った夕食時の店内。周囲にはカップルや団体のお客さんも多数…。そんな状況でも、気にもせず、ヒトって泣けるんだ…。初めて知ったヨ。


……………

淹れたてのコーヒーのアロマ、汗と整髪料とアイロン糊の交錯した残り香り、車内に仄かに漂う芳香剤、コパトーンとシーブリーズと潮風の香り、ジッポーオイルの芳香、そしていつもお兄を包んでいた紫煙の匂い、お兄の前ではいつも着けていた香水の香り。そんな、色々な匂いに包まれていた日々。

小さな蕾(つぼみ)が芽吹いた春。そのまま、大きく花開いた夏。少しずつ綻び始め、でも何とか繕おうと努力した秋。そしてお互いを『卒業』した冬。

そんな、激動の数ヶ月間の体験は、私にとっての大切な宝物。まあ、そんなふうに、淡く切ない「宝物」として向かい合えるようになるまでには、ほぼ10年近くの年月を必要とした訳なんだけどネ。

そして社会人になった今、カラオケで、たまたま他のコが、この「my graduation」をリクエストしたりすると、じわじわとこみ上げてくる、懐かしい日々の思い出。曲が掛かると、ついつい、画面に見入り、歌詞を目で追い、オケに聞き入り、そのまま一緒に口ずさんでしまう。

「愛が芽生えたJuly。最初のkiss。2人の合図。仲直りした夜。本当に、愛してた。」
「愛してた」?と問われると、多分答えはノーだったと思う 。お兄を好きだった、「自分自身」を愛してたのかも知れないけどネ。


おしまい。

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